大判例

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富山地方裁判所 昭和26年(行モ)3号 決定

申請人 谷川七郎 外三名

被申請人 出町選挙管理委員会

一、主  文

本件申請を却下する。

申請費用は申請人等の負担とする。

二、理  由

本件申請の要旨は申請人等より被申請人に対する行政処分取消事件の判決確定に至る迄被申請人が昭和二十六年十月九日為したる出町警察署を維持しないことの住民投票を為す投票日を同月二十九日と定めた決定の執行を為すことを停止するとの裁判を求め其理由として申請人等は東礪波郡出町議会議員選挙権を有するものであるところ、被申請人は申請外北野安二が昭和二十六年九月七日被申請人に対し出町警察を維持しないことの住民投票を為す請求をして法定の手続に従い、被申請人に請求者署名簿を提出し、被申請人は之を審査した結果、同年十月九日出町警察署を維持しないことの住民投票を為す投票日を十月二十九日と決定し、其旨告示を為し、且申請人等を含む十四名等が為した署名に関する異議申立を却下したのである。然し之は次の理由により違法であり、即ち

(一)  大橋成次は被申請委員会の委員であるところ、同人は前記署名簿に署名をしているから之は地方自治法第百八十九条第二項に違反する。

(二)  前記署名簿の有効署名と認められた千四百九十二名の署名中には多数の無効なものがあつて之を差引くと法定数に達していない。

(三)  前記署名簿には所定の写しが添附してなく且契印も不備であるからして無効である。

(四)  本件署名運動の期間中なる昭和二十六年九月九日出町の議会が出町警察を維持しない旨の議案を否決したので、それ以前に於ける署名は該議決後は署名当時の条件が消滅したものとして無効とすべきである。

(五)  本件署名簿に添附の住民投票請求理由書は正当な理由の記載がなく其趣旨が判然として居らぬから無効である。

(六)  前記北野安二は右(五)の理由からして正当なる代表者ではないから其請求に基く署名は無効である。

(七)  前記署名簿中九月十日以降の署名は、前記出町議会の議決があつた趣旨の別個の請求理由書を添附してあるものに記載して、それ以前の署名と一連のものとなしたのであるから形式上並実質上も無効である。

されば斯る請求に基いて被申請人の為した決定は無効であつて、斯る決定に基いて住民投票の実施を為すに於ては申請人は勿論関係町民は償うことの出来ない損害を蒙る虞れがあるから、此処に本件申請に及んだと述べた。

仍て審案するに申請代理人提出に係る総ての疏明資料に徴するも、住民投票の請求手続に幾分のかしがあるとは考えられるが、申請代理人主張の通り本件住民投票を為すことの決定を無効ならしめる如き重大なるものとは到底即断出来ないのであつて、従つて本件の住民投票を被申請人の決定した通り執行することが関係人に大きな迷惑を掛け、公共団体の機能を害し、地方民心を不安に陥しいれるとして、行政事件訴訟特例法第十条第二項本文の所謂処分の執行により生ずべき償ふことの出来ない損害を生ずるものとして考へることは早計に失するものと謂ふべく、然も被申請人代表者の意見を徴すればむしろ当該住民の総意を速やかに表明せしめることこそ民心を安定させ、公共の福祉に合致するものとも考えられる。而して警察法第四十条第三項第四十条の三第一項第六項第八項第九項等の規定に依れば、今本件住民投票の施行を停止する場合と然らざる場合等彼此考慮すれば、仮定の特殊の場合に於ては予算或は平衡交付金の関係に於て若干の困難を来すことがあり得るとしても、総ての事情を考慮した上に於ては、本件行政処分の執行を停止することは公共の福祉に重大なる影響を及ぼす虞れあるものと認めるの外なく、依つて本件申請は之を却下すべきものとし主文の通り決定する。

(裁判官 渡辺門偉男)

正誤表(昭和二十六年行政事件裁判例集第二巻)

一号

一七頁

三行( )内

取消

取消変更

三号

目次七頁

一行

請求

申請

四七四頁

一行

請求

申請

五号

目次四頁

五行

相手いかん

相手方いかん

八一六頁

六行

農地である

農地でない

六号

八三二頁

六行

第三十四条

第三十一条

七号

一〇四二頁

一六行

使用人

使用借人

一〇七八頁

一八行

第三条

第二条

八号

一二八二頁

三行

不借

不備

九号

一四六三頁

一〇行

法の要求するき束的制限

法の要求する相当性のき束的制限

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